医療・介護職の退職金の相場と制度の種類
wellness 就活 編集部

免責事項
本記事は医療・介護・福祉業界の転職に関する一般的な情報提供を目的としており、 特定の転職先や雇用条件を保証するものではありません。 給料・年収等の数値は公的統計に基づく参考値です。 資格や制度に関する情報は記事執筆時点のものであり、 最新の情報は必ず厚生労働省や各専門職団体の公式サイトでご確認ください。 転職に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
医療・介護の現場で働く方にとって、退職金は老後の生活設計に直結する重要な収入源です。しかし「自分がどの制度に加入しているのか」「実際にいくらもらえるのか」を把握している人は意外と少ないのが現状です。
医療・介護職の退職金の相場と制度の種類|勤続年数別シミュレーション付き
医療・介護の現場で働く方にとって、退職金は老後の生活設計に直結する重要な収入源です。しかし「自分がどの制度に加入しているのか」「実際にいくらもらえるのか」を把握している人は意外と少ないのが現状です。
本記事では、医療・介護職の退職金制度の種類、勤続年数別の相場、計算方法、そして退職金を増やすためのポイントまで、わかりやすく解説します。転職を検討している方も、今の職場で長く働く予定の方も、ぜひ参考にしてください。
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医療・介護業界の退職金制度の導入状況
厚生労働省の令和5年調査によると、医療・福祉業界における退職金制度(一時金・年金を含む)の導入率は75.5%に達しています。3社に2社以上が何らかの退職金制度を設けている計算です。
ただし、小規模な診療所や介護施設では退職金がない職場も存在します。就職・転職活動の際は、必ず雇用条件や就業規則で確認することが重要です。
退職金は正社員に限らず、勤続年数が一定以上のパートや契約社員に支給されるケースもあります。詳細は雇用契約書または就業規則を確認しましょう。
また、医療・介護職全体の年収・待遇については医療・介護・福祉職の給料・年収・待遇完全ガイドもあわせてご覧ください。
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退職金制度の主な種類【5種類を徹底比較】
医療・介護分野で採用されている退職金制度には、大きく5種類があります。自分の職場がどの制度を採用しているか確認しましょう。

| 制度の種類 | 特徴 | 主な採用先 |
|---|---|---|
| 退職一時金制度 | 退職時に一括で支給される最もシンプルな制度 | 病院・診療所全般 |
| 確定給付企業年金(DB) | 将来の給付額があらかじめ確定している年金型 | 大規模病院・社会福祉法人 |
| 確定拠出年金(DC) | 掛金を自分で運用し、実績に応じて受取額が変わる | 医療法人・民間介護施設 |
| ポイント制退職金 | 勤続年数・役職・業績などのポイントで金額を決定 | 中規模以上の医療機関 |
| 社会福祉施設職員等退職手当共済(WAM) | 社会福祉法人特有の共済制度・国や都道府県が補助 | 社会福祉法人全般 |
退職一時金制度
最も一般的な形式で、退職時に勤続年数・基本給・退職事由(自己都合・会社都合・定年)に基づいた計算式で一括支給されます。
計算式: 基本給 × 勤続年数 × 支給率
夜勤手当や処遇改善手当などの各種手当は計算に含まれないことが多い点に注意しましょう。
社会福祉施設職員等退職手当共済(WAM共済)
社会福祉法人が運営する介護・福祉施設で働く職員が対象となる公的共済制度です。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が管理・運営しており、国と都道府県が掛金の一部を補助するため、事業者にとってもメリットのある制度です。
勤続1年以上から受給資格が発生し、長く働くほど受給額が増加します。
確定拠出年金(DC・iDeCo)
企業型確定拠出年金は、毎月の掛金を事業者が負担し、職員が自分で運用先を選択します。運用実績によって受取額が変わるため、資産形成の視点が求められます。医療・介護職のiDeCo・NISAを活用した資産形成については医療・介護職のiDeCo・NISA活用ガイドも参考になります。
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勤続年数別の退職金相場【医療・介護職シミュレーション】
退職金の相場は勤続年数と制度によって大きく異なります。以下の表は、中小企業モデルケース(高卒・自己都合退職)を基にした目安です。

| 勤続年数 | 退職金の目安(自己都合) | 退職金の目安(会社都合・定年) |
|---|---|---|
| 3年 | 約14万〜30万円 | 約20万〜45万円 |
| 5年 | 約20万〜50万円 | 約30万〜75万円 |
| 10年 | 約52万〜100万円 | 約80万〜150万円 |
| 15年 | 約80万〜200万円 | 約120万〜300万円 |
| 20年 | 約132万〜300万円 | 約200万〜450万円 |
| 30年(定年) | 約300万〜600万円 | 約450万〜900万円 |
※上記はあくまで目安であり、職場の制度・規模・役職によって大幅に異なります。
社会福祉法人における退職者1人当たりの平均退職金額は約150万円とされています。ただしこれは全職員の平均であり、勤続年数が長い職員はより多くの金額を受け取ります。
看護師・医療職の退職金相場
看護師の場合、勤続3年目で約30万円前後、5年目で約50万円前後が目安です。大規模な病院ほど賞与や退職金制度が充実しており、同じ勤続年数でも職場規模によって大きな差が生じます。
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自己都合退職と会社都合退職の違い
退職事由によって支給される退職金の額は大きく変わります。一般的に会社都合退職や定年退職のほうが、自己都合退職より支給率が高く設定されています。
自己都合での早期退職は大きな金銭的損失を伴うことがあります。特に勤続10年未満での自己都合退職は、支給されない・または極めて少額になるケースも少なくありません。
転職を検討している場合は、現在の退職金の権利確定状況を必ず確認し、退職のタイミングを慎重に選びましょう。医療・介護業界での転職については介護職・介護福祉士の転職完全ガイドも参考にしてください。
また、退職金以外の給与アップについては介護職の処遇改善加算の仕組みと給料への影響もご確認ください。
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退職金を確認・増やすための5つのポイント
1. 就業規則と退職金規程を確認する
在職中に就業規則・退職金規程を確認しておきましょう。「退職金制度の有無」「計算方式」「支給条件(勤続年数の最低ライン)」「自己都合・会社都合の違い」などを把握することが最初のステップです。

2. 勤続年数の節目を意識する
多くの制度では、勤続3年・5年・10年・20年などで支給率が大きく上がります。転職を考える際は、次の節目まで勤務を続けることで退職金を大幅に増やせる可能性があります。
3. 役職・資格を取得する
ポイント制退職金や一時金制度では、役職が高いほど退職金が増加します。介護福祉士・看護師・ケアマネジャーなどの資格取得は、基本給の上昇を通じて退職金にも好影響を与えます。
4. 確定拠出年金の運用を最適化する
企業型DC・iDeCoを導入している職場では、掛金の運用方法を定期的に見直すことが重要です。長期・分散投資を基本に、年齢に応じたリスク管理を行いましょう。詳細は医療・介護職のiDeCo・NISA活用ガイドを参照してください。
5. 転職先の退職金制度も比較する
転職先を選ぶ際は給与だけでなく退職金制度も重要な比較ポイントです。WAM共済加入施設は入職初日から掛金が積み立てられるため、中長期的な資産形成の面でも有利です。
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退職金にかかる税金と手取り額
退職金は通常の給与と異なり、退職所得控除が適用されるため税負担が軽くなります。
退職所得控除額の計算:
- 勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
- 勤続年数20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
例えば勤続10年の場合、退職所得控除は400万円となります。退職金が400万円以下であれば所得税は発生しません。
退職時には「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出することで、源泉徴収時に適切な控除が適用されます。
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まとめ:医療・介護職の退職金を賢く活用しよう
医療・介護職の退職金制度は、WAM共済・退職一時金・確定拠出年金など複数の種類があり、職場の規模や法人形態によって大きく異なります。
今すぐできるアクション:
- 就業規則で現在の退職金制度を確認する
- 勤続年数の節目(5年・10年・20年)を意識した働き方を検討する
- 確定拠出年金がある場合は運用方法を見直す
- 転職を検討する場合は退職金制度も比較ポイントに加える
退職金は老後の生活資金の柱となる重要な制度です。早いうちから制度を理解し、計画的なキャリア設計に役立ててください。医療・介護職全体の待遇・福利厚生については医療・介護職の福利厚生ランキングと重視すべきポイントもあわせてご参照ください。
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