医療・介護職の残業を減らす方法と制度活用
wellness 就活 編集部

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本記事は医療・介護・福祉業界の転職に関する一般的な情報提供を目的としており、 特定の転職先や雇用条件を保証するものではありません。 給料・年収等の数値は公的統計に基づく参考値です。 資格や制度に関する情報は記事執筆時点のものであり、 最新の情報は必ず厚生労働省や各専門職団体の公式サイトでご確認ください。 転職に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
医療・介護職の残業を減らす方法を徹底解説。2024年施行の働き方改革、タスクシフティング、変形労働時間制、ICT活用など、現場で使える制度と具体的な残業削減策をわかりやすくまとめました。転職・職場選びのポイントも紹介。
医療・介護職の残業を減らす方法と制度活用|2024年最新ガイド
医療・介護職の長時間労働は、長年にわたる業界課題です。2024年4月に施行された「医師の働き方改革」を皮切りに、医療・介護分野の残業削減に向けた制度整備が急速に進んでいます。本記事では、医療・介護職が残業を減らすための具体的な方法と、活用できる制度・支援策をわかりやすく解説します。
転職や職場選びの際に残業時間を重視する方は、医療・介護・福祉の転職サイト・エージェント徹底比較もあわせてご覧ください。
医療・介護職の残業の実態と2024年問題
長時間労働の現状
医療・介護業界は慢性的な人手不足と高い業務負荷により、長時間労働が常態化しています。厚生労働省のデータによると、改正後も約30%の医療従事者が毎日2時間以上の残業を行っているとされています。

特に問題視されているのが「過労死ライン」の問題です。一般的に月80時間の残業が過労死ラインとされていますが、医療職の残業上限はこれを大きく超えていました。
2024年4月の働き方改革施行
2024年4月より、医師を対象とした時間外労働の上限規制がついに施行されました。交通・建設・医師といった業種は5年間の猶予期間を経て、2024年4月1日にこの上限規制が本格適用されました。
| 水準区分 | 対象医療機関 | 年間上限時間 | 月上限時間 |
|---|---|---|---|
| A水準 | 一般医療機関 | 年960時間 | 月100時間未満 |
| B水準 | 地域医療機関(救急等) | 年1,860時間 | 月100時間未満 |
| C水準 | 集中的技能向上が必要な機関 | 年1,860時間 | 月100時間未満 |
なお、看護師・介護職については医師ほど厳格な規制ではないため、現場レベルの取り組みがより重要です。
残業削減のための7つの具体的方法
1. タスクシフティング(業務移譲)の活用
タスクシフティングとは、医師が行っていた業務を看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師などへ移譲することです。2024年の改正医療法でも正式に推進されており、医師の残業削減に最も効果的な方法のひとつです。
具体的な移譲可能業務の例:
- 静脈採血・点滴ルート確保(看護師へ)
- 薬剤調整・服薬指導(薬剤師へ)
- 血液・尿検体の採取(臨床検査技師へ)
- X線撮影・造影剤注射(診療放射線技師へ)

2. 変形労働時間制の導入
変形労働時間制を導入することで、繁忙期には所定労働時間を長く、閑散期には短く柔軟に配分できます。これにより繁忙期の深夜・休日対応が「所定労働時間内」となるため、時間外労働(残業)として計上される時間が減少します。
1か月単位・1年単位の変形労働時間制を適切に導入することで、年間の残業時間を大幅に圧縮できます。
3. 勤怠管理システムの活用
リアルタイムで累積残業時間を把握できる勤怠管理システムは、残業削減の基盤となります。主な機能として以下が挙げられます:
- リアルタイムの残業時間モニタリング
- 上限接近時のアラート通知
- シフト最適化支援
- 36協定の上限管理
ICT化の支援として、国や自治体では介護テクノロジー導入支援事業やIT導入補助金制度を活用できます。
4. 業務の棚卸しと外部委託
「誰でもできる業務」と「専門職にしかできない業務」を分け、非専門業務を外部委託や補助スタッフへ分担させることで、核心業務に集中できます。
例)
- 清掃・食事配膳 → 外部委託
- 事務処理・書類作成 → 医療事務スタッフへ
- 送迎業務 → 専任ドライバーへ
介護事務職への転職を検討している方は医療事務の転職完全ガイドもご参照ください。
5. ICT・テクノロジー導入で業務効率化
介護現場ではICT(情報通信技術)の導入により、記録業務の大幅な効率化が実現しています。
- 介護記録システム:紙記録をデジタル化し、記録時間を50〜70%短縮
- 見守りセンサー:夜間の見守り業務を自動化
- 在庫管理システム:消耗品の自動発注で棚卸し・発注作業を削減
国の補助金を活用することでコストを抑えてシステム導入が可能です。
6. シフト管理の最適化
特定の職員への負担集中が残業の大きな原因のひとつです。シフト管理ツールを使って業務量を均等化し、特定の曜日・時間帯への集中を防ぎます。
また、職員が自身のシフトをオンラインで確認・変更申請できる仕組みを整えることで、管理者の調整コストも削減できます。
7. 残業の「見える化」と職場文化の改善
「残業が当たり前」という職場文化を変えることも重要です。具体的には:
- 定時退勤の推奨(管理職が率先して定時退勤)
- 業務終了の報告制度導入
- 残業時間の部署別・個人別の可視化
- 改善施策の定期的な振り返り会議
活用できる主な制度・補助金
医師の働き方改革関連制度
| 制度名 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 時間外労働上限規制 | 年960〜1,860時間の上限設定 | 医師 |
| 健康確保措置 | 月100時間超の場合は面接指導等が必須 | 医師 |
| タスクシフティング推進 | 他職種への業務移譲を法的に推進 | 医療機関全般 |
介護職向けの補助・支援制度
| 制度名 | 概要 | 主な支援内容 |
|---|---|---|
| 介護テクノロジー導入支援事業 | ICT機器・ロボット導入への補助 | 導入費用の一部補助 |
| IT導入補助金 | IT・DX化への補助金 | 最大450万円補助 |
| 処遇改善加算 | 介護職員の処遇改善 | 賃金・労働環境改善 |
| 特定処遇改善加算 | 経験・技能のある介護職員の処遇改善 | 重点的な賃金改善 |
職場選びで残業を回避するポイント
転職・就職時に残業が少ない職場を選ぶことも重要な選択肢です。

確認すべき項目
- 平均残業時間の開示:求人票や面接で具体的な残業時間を確認
- 有給休暇取得率:実際の休暇取得状況を聞く
- 36協定の内容:上限時間と特別条項の有無
- ICT化の状況:記録システムやシフト管理ツールの導入状況
- 夜勤・オンコール体制:回数・頻度・手当の有無
転職を検討している方は、専門の転職エージェントに相談することもおすすめです。
- 看護師の方:看護師の転職完全ガイド
- 介護職の方:介護職・介護福祉士の転職完全ガイド
- 薬剤師の方:薬剤師の転職完全ガイド
残業が少ない職種・職場の傾向
残業が比較的少ないとされる医療・介護の職場環境:
| 職場環境 | 残業少ない傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| クリニック・診療所 | ○ | 診療時間が固定、入院なし |
| 訪問介護 | △ | 移動時間が影響するが裁量性高い |
| 通所介護(デイサービス) | ○ | 利用者帰宅後は業務終了 |
| 大学病院・急性期病院 | × | 緊急対応・当直が多い |
| 老人保健施設 | △ | 施設によって差が大きい |
残業削減を成功させる3つの鍵
医療・介護職が残業を持続的に削減するためには、以下の3点が重要です。
1. 目的を明確にする
「なぜ残業を減らすのか」の目的を組織全体で共有します。職員の健康維持、離職率低下、医療・ケアの質向上など、具体的なゴールを設定しましょう。
2. 職員全体の協力を得る
管理職だけでなく、現場スタッフ全員が改善に参加することが重要です。1つの施策を小さく試してフィードバックを得ながら改善を繰り返す手法が効果的です。
3. 定期的な評価と見直し
導入した施策の効果を定期的に測定し、改善を継続します。残業時間、有給取得率、スタッフ満足度などを定点観測し、数値で効果を確認しましょう。
まとめ:医療・介護職の残業削減は制度と実践の組み合わせが鍵
医療・介護職の残業削減には、2024年に整備された法制度の理解と活用が不可欠です。タスクシフティングや変形労働時間制、ICT導入など複数の手段を組み合わせることで、持続的な残業削減が実現できます。
また、転職・就職時には残業時間や職場環境をしっかり確認することも大切です。自分のキャリアや生活スタイルに合った職場を選ぶために、専門の転職エージェントを活用することも検討してみてください。
働きやすい職場環境を整えることは、医療・介護の質を高め、社会全体の利益につながります。ぜひ本記事を参考に、あなたの職場環境改善のヒントにしてください。
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