医療・介護職の残業時間の実態と残業代の計算方法
wellness 就活 編集部

免責事項
本記事は医療・介護・福祉業界の転職に関する一般的な情報提供を目的としており、 特定の転職先や雇用条件を保証するものではありません。 給料・年収等の数値は公的統計に基づく参考値です。 資格や制度に関する情報は記事執筆時点のものであり、 最新の情報は必ず厚生労働省や各専門職団体の公式サイトでご確認ください。 転職に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
看護師・介護士の残業時間の実態データと残業代の正しい計算方法をわかりやすく解説します。固定残業代の注意点、2024年の上限規制、未払い残業代の請求方法まで医療・介護職が知るべき残業の全知識を網羅しています。
医療・介護職の残業時間の実態と残業代の計算方法
医療・介護職は、患者や利用者の命と生活を支える重要な職業ですが、その一方で慢性的な人手不足や業務量の多さから残業が発生しやすい環境でもあります。「残業代はいくらもらえるの?」「サービス残業が当たり前になっているけど問題ないの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、医療・介護職の残業時間の実態データや、残業代の計算方法、固定残業代の注意点、未払い残業代への対処法までを徹底解説します。自分の権利を正しく理解して、適切な対処ができるようになりましょう。
医療・介護職の残業時間の実態
看護師の残業時間
日本看護協会の調査によると、看護師は月平均5.1時間の残業をしています。一見少なく見えますが、これは平均値であり、職場や診療科によって大きな差があります。

月間の時間外労働の分布をみると:
- 残業なし:15.3%
- 5時間未満:30.8%
- 5~10時間未満:19.9%
- 10~20時間未満:16.3%
- 20時間以上:約17.7%
- 40時間以上:約5%
特に急性期病院や手術室・ICUなどの部署では、月40時間を超える残業も珍しくありません。また、看護師はどの勤務形態(日勤・夜勤)でも20〜50分程度の残業が発生する傾向があります。
介護職の残業時間
公益財団法人介護労働安定センターの令和6年度調査によると、無期雇用職員の56.6%が「残業なし」と回答しており、看護師に比べると残業が少ない傾向があります。しかし、月5時間以上のサービス残業(無給の残業)を経験している介護士は全体の約35%にのぼるという実態も明らかになっています。
記録の入力、申し送り準備、研修参加など「業務時間外のグレーゾーン」が多いことが、介護職のサービス残業の大きな原因となっています。
残業が多くなる主な原因
医療・介護職で残業が増える要因としては、以下が挙げられます:
- 慢性的な人手不足:スタッフが少ない分、一人ひとりの業務量が増加
- 引き継ぎ時間の超過:患者・利用者の状態変化による延長
- 記録・書類業務の多さ:電子カルテの入力や各種記録の作成
- 急変・緊急対応:予期せぬ急変により退勤できない
- 会議・研修への参加:業務時間外に設定されている場合がある
残業代(時間外労働の割増賃金)の計算方法
残業代は、以下の計算式で求められます。

残業代 = 1時間当たりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間
1時間当たりの基礎賃金の計算
月給制の場合、まず時間単価を計算します。
時間単価 = 月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間
1ヶ月の平均所定労働時間は、以下のように計算します:
年間所定労働時間 = (365日 ÷ 7日) × 週所定労働時間
例:週40時間勤務の場合
- 1ヶ月平均所定労働時間 ≒ 173.8時間
- 月給25万円の場合:250,000 ÷ 173.8 ≒ 1,438円/時間
割増率の種類
| 労働の種類 | 割増率 | 備考 |
|---|---|---|
| 法定時間外労働(月60時間以下) | 25%以上 | 1.25倍 |
| 法定時間外労働(月60時間超) | 50%以上 | 1.50倍(2023年4月〜中小企業も適用) |
| 深夜労働(22時〜翌5時) | 25%以上 | 1.25倍 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 1.35倍 |
| 深夜+時間外 | 50%以上 | 1.50倍 |
| 深夜+休日 | 60%以上 | 1.60倍 |
計算例
月給25万円(時間単価1,438円)、月10時間の残業の場合:
- 残業代 = 1,438円 × 1.25 × 10時間 = 17,975円
深夜勤務(22時以降)が5時間含まれる場合、その5時間分は:
- 深夜割増分 = 1,438円 × 1.50 × 5時間 = 10,785円(時間外+深夜)
固定残業代(みなし残業代)の注意点
医療・介護業界では「固定残業代」を採用している職場も一定数存在します。固定残業代とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。
固定残業代の確認ポイント
ジョブメドレーの解説によると、固定残業代には次の点を必ず確認する必要があります:
- 基本給と固定残業代が明確に分離されているか
- 例:基本給 200,000円 + 固定残業代(20時間分)30,000円
- 何時間分の残業代が含まれているか明記されているか
- 固定時間を超えた場合は別途支払われるか
固定残業代の時間数を超えて働いた場合、超過分の残業代は必ず追加で支払われなければなりません。これが守られていない場合は法律違反です。
固定残業代のよくあるトラブル
- 「残業代込みの給与」と説明されるが、何時間分かが不明
- 実際の残業時間が固定時間を大幅に超えているのに追加支払いなし
- 固定残業時間が45時間など過大に設定されている
これらは違法の可能性があります。求人票で月給に固定残業代が含まれている場合は、詳細を必ず確認しましょう。
2024年4月からの医師の時間外労働上限規制
厚生労働省の発表によると、2024年4月より医師にも時間外労働の上限規制が適用されました。
医師の時間外労働上限
| 区分 | 上限時間(年間) |
|---|---|
| A水準(一般勤務医) | 960時間 |
| B水準(救急病院など) | 1,860時間 |
| C水準(研修医・地域医療確保) | 1,860時間 |
これにより、医師の過重労働問題に一定の規制がかかることになりました。ただし、B・C水準は年間1,860時間とかなり高い上限のため、実質的に長時間労働が続くリスクもあります。
介護職への影響
介護職は2019年の働き方改革により、すでに時間外労働の上限規制(年720時間、月100時間未満など)が適用されています。ただし、現場では依然としてサービス残業が多いという課題があります。
未払い残業代(サービス残業)の対処法
サービス残業が続いている場合、泣き寝入りする必要はありません。適切な手順で請求することが可能です。

ステップ1:証拠を集める
残業の証拠として有効なものは以下の通りです:
- タイムカード・ICカードの打刻記録
- 出勤・退勤記録のスクリーンショット
- 業務メールの送受信履歴(時刻入り)
- 手書きのメモや日記
- 同僚の証言
ステップ2:未払い額を計算する
弥生株式会社の解説を参考に、以下の手順で計算します:
- 月給から時間単価を計算
- 実際の残業時間から支払われた残業代を引いて未払い額を算出
- 未払い額 × 割増率(時間外:1.25倍〜)
なお、残業代の請求権は3年間(2020年4月以降の残業代)有効です。過去3年分を遡って請求できます。
ステップ3:職場への請求
まずは職場(上司や人事部)に対して未払い残業代の支払いを求める書面を提出します。
ステップ4:外部機関への相談
職場内での解決が難しい場合は、以下の外部機関を活用しましょう:
- 労働基準監督署:無料で相談・是正指導を依頼できる
- 総合労働相談コーナー(都道府県労働局):法的アドバイスを受けられる
- 弁護士・社労士への依頼:費用はかかるが確実な解決が期待できる
残業が多い・サービス残業がある職場の見分け方
転職活動中に残業に関して職場を見極めるポイントを紹介します。
| チェックポイント | 確認方法 |
|---|---|
| 実際の残業時間 | 面接で率直に質問する |
| 固定残業代の有無と時間数 | 求人票・雇用契約書を確認 |
| タイムカードの管理 | 入退場記録が正確に残るか |
| 有給休暇取得率 | 職場の消化実績を確認 |
| 離職率・スタッフの定着度 | 口コミサイトや面接で確認 |
看護師の転職完全ガイドや介護職・介護福祉士の転職完全ガイドも参考に、残業が少なく働きやすい職場への転職を検討することも重要な選択肢です。
よくある質問(Q&A)
Q. 変形労働時間制の場合、残業代の計算は変わりますか?
A. はい、変わります。変形労働時間制では、あらかじめ定められたシフト内の労働は残業にならない場合があります。シフト制の看護師や介護職では特に注意が必要です。詳しくは看護師の残業代計算方法(レバウェル看護)をご確認ください。
Q. 夜勤手当は残業代と別に支払われますか?
A. 夜勤手当と深夜割増賃金は別の制度です。夜勤手当は会社独自の手当ですが、22時〜翌5時の深夜時間帯に働いた場合は、労働基準法に基づく深夜割増賃金(25%増し)も別途必要です。両方が支払われているか確認しましょう。
Q. 介護職のサービス残業はどこに相談すればいいですか?
A. まずは職場の上長や人事部に相談します。改善が見られない場合は、労働基準監督署へ申告するか、法律の専門家(弁護士・社労士)に相談することを検討しましょう。介護士の残業実態(メディケアキャリア)も参考になります。
まとめ
医療・介護職の残業時間の実態と残業代の計算方法について解説しました。
- 看護師は月平均5.1時間の残業があり、職場によっては40時間超も
- 介護職は残業なしが過半数だが、サービス残業が約35%に存在
- 残業代の計算式は「時間単価 × 割増率 × 残業時間」
- 月60時間超の残業は割増率50%(中小企業も2023年4月から適用)
- 固定残業代は時間数と金額が明記されているか必ず確認
- 未払い残業代は3年分まで遡って請求可能
自分の労働環境と賃金を正しく把握することが、医療・介護職としての健全なキャリアを築く第一歩です。残業が多すぎると感じる場合は、医療・介護・福祉の転職サイト・エージェント徹底比較を参考に、よりよい職場への転職も選択肢として検討してみてください。
また、医療・介護・福祉職の給料・年収・待遇完全ガイドでは、残業以外の給与・待遇についても詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事

2025年以降の医療・介護職の給料はどうなる?
2025年以降の医療・介護職の給料トレンドを徹底解説。処遇改善加算の一本化、2026年介護報酬改定、月額最大1.9万円の賃上げ支援など最新政策動向と、看護師・介護士の年収アップ方法をわかりやすく紹介します。
続きを読む →
医療・介護職のiDeCo・NISA活用ガイド【資産形成】
看護師・介護士など医療・介護職のためのiDeCo・NISA活用ガイド。2024年12月の掛金上限引き上げを踏まえ、節税効果の計算・積立戦略・賢い組み合わせ方を徹底解説。老後資金の不安を解消する資産形成の始め方をステップ別に紹介します。
続きを読む →
医療・介護職の年収と生活費のバランス計算
医療・介護職の年収と生活費のバランスを徹底解説します。看護師の平均年収462万円・介護士406万円の手取り計算から、都市部と地方の生活費比較、資格取得や転職による年収アップ方法まで具体的にご紹介します。
続きを読む →
年収600万以上の医療・介護・福祉職の求人と方法
医療・介護・福祉職で年収600万円以上を目指す方法を職種別に解説。薬剤師・看護師・介護福祉士・理学療法士など各職種のキャリアアップ戦略、高収入求人の探し方、転職エージェントの活用法を詳しく紹介します。
続きを読む →
医療・介護職の給料交渉のコツと成功事例
医療・介護職の給料交渉を成功させるコツを徹底解説。交渉の最適タイミング、具体的な進め方、看護師・介護福祉士・ケアマネなど職種別の戦略、実際の成功事例まで詳しく紹介します。転職時の年収アップに役立つ実践ガイドです。
続きを読む →
介護職の特定処遇改善加算とは?対象と金額
介護職員の賃金改善を目的とした「介護職員等特定処遇改善加算」は、長く現場を支えてきた経験豊富な介護士の待遇向上を図るために2019年10月に創設された制度です。しかし2024年6月をもって新制度へと移行し、現在は「介護職員等処遇改善加算」として一本化されています。
続きを読む →