言語聴覚士の将来性と需要の見通し
wellness 就活 編集部

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本記事は医療・介護・福祉業界の転職に関する一般的な情報提供を目的としており、 特定の転職先や雇用条件を保証するものではありません。 給料・年収等の数値は公的統計に基づく参考値です。 資格や制度に関する情報は記事執筆時点のものであり、 最新の情報は必ず厚生労働省や各専門職団体の公式サイトでご確認ください。 転職に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
言語聴覚士(ST)の将来性と需要の見通しを徹底解説。有資格者は約4万1千人と少なく売り手市場が続く中、超高齢化社会でさらに需要が拡大する理由や、年収・キャリアパス・活躍できる就職先まで詳しく紹介します。
言語聴覚士の将来性と需要の見通し|高齢化社会で求められる専門職
言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)は、「話す」「聴く」「食べる」といった人間の根本的なコミュニケーション能力をサポートするリハビリ専門職です。1997年に国家資格として制定されてから比較的歴史が浅いにもかかわらず、日本の超高齢化社会の進展とともにその需要は急速に高まっています。
この記事では、言語聴覚士の将来性・需要の現状、資格者数の推移、活躍できる分野、年収やキャリアパスなどについて詳しく解説します。言語聴覚士を目指している方や転職を検討している方にとって、現在の市場動向を把握するための参考になれば幸いです。
言語聴覚士の現状:資格者数と需要のバランス
2024年3月時点で、言語聴覚士の有資格者数は約4万1千人です。同じリハビリ専門職である理学療法士(PT)が約22万人、作業療法士(OT)が約11万人いるのと比較すると、言語聴覚士の資格者数は圧倒的に少ないことがわかります。

この資格者数の少なさが、言語聴覚士市場の大きな特徴です。需要に対して供給が追いついていない状況が続いており、就職・転職市場においては求職者有利の売り手市場となっています。
資格者数の比較(リハビリ3職種)
| 職種 | 有資格者数(2024年) | 1人当たりの求人需要 |
|---|---|---|
| 理学療法士(PT) | 約22万人 | 普通 |
| 作業療法士(OT) | 約11万人 | やや高い |
| 言語聴覚士(ST) | 約4万1千人 | 非常に高い |
特に聴覚分野・小児分野では慢性的な人手不足が続いており、専門性の高い言語聴覚士が強く求められています。言語聴覚士の転職・キャリアについてはこちらも参考にしてください。
将来性が高い理由①:超高齢化社会の進展
日本の少子高齢化は世界でも類を見ないスピードで進行しています。2024年9月時点で日本の65歳以上の人口は3,625万人に達し、総人口の29.3%を占めています。さらに、2040年には高齢化率が34.8%に達すると予測されており、今後も高齢者人口の増加は続く見込みです。
高齢化が進むにつれて、以下のような言語聴覚士が必要とされる疾患・状態が増加します:
- 脳卒中後の失語症・構音障害:高齢者に多く発症し、コミュニケーション障害をもたらす
- 認知症に伴う言語・コミュニケーション障害:2025年には700万人が認知症になると予測
- 嚥下障害(えんげ障害):誤嚥性肺炎の予防・リハビリに言語聴覚士が必須
- パーキンソン病・神経難病:発声・言語機能の維持にリハビリが重要
高齢化社会の進展とともに、言語聴覚士のニーズは確実に拡大していきます。
参考:スタンバイplus – 言語聴覚士の将来性や需要を徹底解説
将来性が高い理由②:活躍の場の拡大
2020年度の診療報酬改定により、言語聴覚士が活躍できる分野が大きく拡大しました。具体的には、呼吸器リハビリテーション料の実施者や難病患者リハビリテーション料の施設基準に言語聴覚士が追加されています。

言語聴覚士の主な就職先と活躍分野は以下の通りです:
就職先と主な業務内容
| 就職先 | 業務内容 | 需要 |
|---|---|---|
| 大学病院・総合病院 | 急性期・回復期リハビリ | 非常に高い |
| リハビリ専門病院 | 集中的リハビリプログラム | 高い |
| 介護老人保健施設 | 嚥下・コミュニケーション訓練 | 高い |
| 特別養護老人ホーム | 生活支援・嚥下機能維持 | 高い |
| 小児科・発達支援センター | 言語発達障害・吃音支援 | 高い |
| 学校・教育機関 | 聴覚障害・言語障害サポート | 増加中 |
| 訪問リハビリ | 在宅でのリハビリサービス | 急増 |
医療機関以外にも、在宅ケアの普及に伴い訪問リハビリでの言語聴覚士の需要が急増しています。就職先の約7割は大学病院やリハビリテーション専門病院などの医療機関ですが、近年は介護・福祉分野へのニーズも高まっています。
参考:マイナビ療法士 – 10年後「言語聴覚士」はなくなる?
将来性が高い理由③:AI・ロボットに代替されにくい職業
AIやロボット技術の進化により、多くの職業が代替されると懸念されている現代においても、言語聴覚士は代替されにくい職業の一つとして評価されています。

言語聴覚士の業務の核心は、患者一人ひとりの状態・生活背景・心理的な側面を総合的に理解した上での人間的なコミュニケーションを通じたリハビリです。具体的には:
- 患者の感情や意欲に寄り添い、信頼関係を構築する
- 微細な発話・嚥下の変化を観察・評価する
- 家族・他の医療従事者との多職種連携を行う
- 個別の生活状況に合わせた訓練プログラムを作成する
これらの業務は高度な専門知識と人間としての共感・判断力を必要とするため、AIによる完全代替は困難です。むしろ、AIツールを活用して評価・訓練の質を高める形で、人間の言語聴覚士の専門性がより重視されるようになるでしょう。
理学療法士の将来性についてはこちらもあわせてご覧ください。
言語聴覚士の年収と待遇
言語聴覚士の平均年収は426万5,400円(2021年データ)です。月収では初任給の平均が23万200円と、一般大卒の初任給平均(約22万円)をやや上回る水準です。
経験・勤務先別の年収目安
| 経験年数 | 病院・クリニック | 介護福祉施設 | 訪問リハビリ |
|---|---|---|---|
| 1〜3年 | 280〜320万円 | 260〜300万円 | 300〜340万円 |
| 4〜7年 | 320〜380万円 | 300〜360万円 | 350〜400万円 |
| 8〜15年 | 380〜450万円 | 340〜420万円 | 400〜480万円 |
| 15年以上 | 450〜550万円 | 400〜480万円 | 480〜600万円 |
年収アップのためには、以下の方法が有効です:
- 認定言語聴覚士資格の取得:日本言語聴覚士協会が認定する上位資格で、専門性・スキルのアピールになる
- 専門分野の特化:小児や嚥下など需要の高い分野の専門性を高める
- 転職・施設変更:より給与水準の高い医療機関へ転職する
- 管理職へのキャリアアップ:リハビリ科長・主任などの役職を目指す
参考:コメディカルドットコム – 言語聴覚士の年収・資格・需要と将来性
言語聴覚士の課題と今後の展望
将来性が高い言語聴覚士ですが、いくつかの課題も存在します。
養成校の少なさと資格者増加の遅さ
理学療法士・作業療法士と比較して言語聴覚士の養成校数は少なく、毎年の新卒者数も限られています。需要の増加に対して供給が追いつかない状況が当面続くと予想されます。これは言語聴覚士を目指す人にとってはチャンスといえます。
地域格差の問題
都市部の医療機関には言語聴覚士が集中する一方、地方の医療機関や施設では深刻な人手不足が続いています。地方での勤務を選択すると、求人が多く交渉力も高まります。
スキルアップへの継続的な取り組み
言語聴覚士の業務範囲は広く、医療・福祉・教育の各分野で求められるスキルも異なります。時代のニーズに対応するため、継続的な学習・スキルアップが欠かせません。
言語聴覚士への転職・就職を考える方へ
現在の言語聴覚士市場は、有資格者の少なさと高齢化社会の需要増加により、就職・転職において非常に有利な状況が続いています。
転職を検討している方は、言語聴覚士専門の転職エージェントや医療系転職サイトを活用することで、希望条件に合った求人を効率よく見つけることができます。
まとめ:言語聴覚士の将来性は明るい
言語聴覚士は、日本の超高齢化社会の進展に伴い、今後さらに需要が高まることが確実な専門職です。現在の有資格者数(約4万1千人)は需要に対して圧倒的に少なく、売り手市場の状態が続いています。
AIや技術革新が進む時代においても、人間のコミュニケーション能力を支えるという本質的な役割から、代替が難しい職業として安定した需要が期待できます。
言語聴覚士を目指している方、または転職を検討している方は、このチャンスを最大限に活用して、充実したキャリアを築いていただきたいと思います。
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