医師の在宅医療・訪問診療への転職ガイド
wellness 就活 編集部

免責事項
本記事は医療・介護・福祉業界の転職に関する一般的な情報提供を目的としており、 特定の転職先や雇用条件を保証するものではありません。 給料・年収等の数値は公的統計に基づく参考値です。 資格や制度に関する情報は記事執筆時点のものであり、 最新の情報は必ず厚生労働省や各専門職団体の公式サイトでご確認ください。 転職に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。
医師が在宅医療・訪問診療へ転職する方法を徹底解説。仕事内容・年収相場(1,000〜1,800万円以上)・必要なスキル・施設の選び方・求人の探し方まで、訪問診療医を目指す医師のための完全ガイドです。
医師の在宅医療・訪問診療への転職ガイド|仕事内容・年収・キャリアのすべて
近年、超高齢社会の進行と在宅医療推進政策の影響を受け、訪問診療・在宅医療分野への転職を希望する医師が急増しています。内閣府の調査では、55歳以上の国民の54.6%が「自宅で最期を迎えたい」と希望しているにもかかわらず、実際に自宅で亡くなる割合は2017年時点でわずか13.2%に過ぎません。このギャップを埋める役割を担うのが訪問診療医であり、社会的使命感とやりがいを感じながら働ける職域として注目されています。
本記事では、在宅医療・訪問診療へのキャリアチェンジを検討している医師向けに、仕事内容・年収相場・必要なスキル・求人の探し方・施設の選び方まで徹底解説します。
在宅医療・訪問診療とは?「第3の医療」の概要
在宅医療とは、通院が困難な患者の自宅や入居施設に医師が出向き、診察・治療・指導を行う医療サービスです。病院医療、外来医療に続く「第3の医療」として厚生労働省が力を入れて整備を進めています。
訪問診療と往診の違い
| 項目 | 訪問診療 | 往診 |
|---|---|---|
| 定義 | 定期的・計画的に患者宅を訪問 | 急変時などに臨時で患者宅を訪問 |
| 頻度 | 月2回程度が標準 | 不定期(緊急時) |
| 診療報酬 | 在宅患者訪問診療料(I・II) | 往診料 |
| 事前計画 | 訪問診療計画書が必要 | 不要 |
| 主な対象 | 慢性疾患・末期がん・要介護者 | 急変した患者 |
訪問診療は計画的に行うため、日々の業務スケジュールが立てやすく、医師にとって働きやすい環境が整いやすいのが特徴です。
2022年の在宅医療・訪問看護の総費用は約1.7兆円に達しており、今後もさらなる拡大が見込まれています(厚生労働省 在宅医療の現状)。
訪問診療医の仕事内容と1日のスケジュール
訪問診療医の典型的な1日のスケジュールは以下のようになります。

標準的な勤務スケジュール
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 09:00 | 朝のカンファレンス・当日の訪問先確認 |
| 09:30〜12:00 | 午前の訪問診療(5〜8件程度) |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩・記録業務 |
| 13:00〜17:00 | 午後の訪問診療(4〜6件程度) |
| 17:00〜18:00 | 診療録記録・多職種との連絡調整 |
| 18:00 | 退勤 |
残業はほぼなく、9時〜18時程度の就業時間が主流です。ただし、夜間・休日のオンコール対応は施設によって異なります。近年は非常勤医師がオンコールをカバーするタスクシフトを導入する施設も増えています。
訪問診療で行う主な医療行為
- 定期診察・バイタルサイン確認
- 慢性疾患の管理(高血圧・糖尿病・心不全等)
- 疼痛管理・緩和ケア
- 褥瘡処置・カテーテル管理
- 看取り対応・家族への説明
- 介護支援専門員・訪問看護師との多職種連携
MRT 訪問診療医の仕事内容 によれば、訪問診療医は治療(Cure)よりもケア(Care)の視点が求められ、患者と家族の生活全体を支える総合的な医療が中心となります。
訪問診療医の年収・給与相場
訪問診療医の年収は、病院勤務医と比較しても遜色ない水準です。
年収帯の分布
| 年収帯 | 割合 |
|---|---|
| 1,000万円未満 | 11.4% |
| 1,000万円〜1,200万円未満 | 71.3% |
| 1,200万円〜1,500万円未満 | - |
| 1,800万円以上 | 17.3% |
| 2,500万円以上 | 一部あり |
Dr.転職なび(訪問診療医の年収相場) によると、求人の71.3%が年収1,000万円〜1,200万円の範囲に集中しており、夜間・休日のオンコール対応を含む求人では1,800万円以上の高額案件も17.3%存在します。
年収に影響する要因
- オンコール対応の有無と頻度
- 在宅療養支援診療所の認定区分(機能強化型・従来型)
- 診療患者数(1日の訪問件数)
- 施設形態(法人規模・エリア)
- 専門性(緩和ケア・認知症専門等)
訪問診療医に求められるスキルと適性
訪問診療への転職を成功させるためには、単なる医療技術だけでなく、特定のスキルセットと適性が求められます。

必須スキル
総合診療能力:専門診療科に限らず、内科・外科・整形外科的疾患など幅広い疾患を管理できる能力が必要です。経験年数よりも「総合診療スキル」が重視される傾向があります。
コミュニケーション能力:患者・家族への丁寧な説明と信頼関係構築が最重要です。病院とは異なり、患者の生活環境・家族状況・価値観を深く理解した上で医療を提供します。
多職種連携:訪問看護師・ケアマネジャー・薬剤師・社会福祉士などと密に連携する能力が不可欠です。
迅速な判断力:患者の急変時に医療機器が限られた環境でも適切に判断できる臨床力が必要です。
訪問診療に向いている医師の特徴
- ワークライフバランスを重視したい
- 患者との長期的な関係を築きたい
- 地域医療・在宅ケアに使命感を感じる
- 病院組織のヒエラルキーに疲れた
- 育児・介護との両立を図りたい(女性医師の転職と育児両立ガイド も参照)
訪問診療施設の種類と選び方
在宅療養支援診療所の認定区分
機能強化型(単独型)の認定基準:
- 常勤医師3名以上
- 緊急往診:年間10件以上
- 看取り実績:年間4件以上
在宅療養支援病院は病床を有しながら在宅医療を提供し、後方支援病床として機能します。
施設形態による仕事の違い
| 施設タイプ | 患者層 | 特徴 |
|---|---|---|
| 個人宅中心 | 在宅療養患者 | 家族対応多い、訪問移動距離大 |
| 老人施設中心 | 施設入居者 | 移動効率高、施設スタッフとの連携 |
| 混合型 | 両方 | バランスよく経験できる |
| 専門型(がん・認知症等) | 特定疾患患者 | 専門性が求められる |
リクルートドクターズキャリア(訪問診療施設の選び方) では、施設の理念・患者数・オンコール体制・給与体系を事前にしっかり確認することを推奨しています。
施設選びの際に確認すべきポイント:
- オンコール頻度・当直体制
- 1日あたりの平均訪問件数
- 多職種スタッフの充実度
- 電子カルテ・タブレット対応状況
- 緊急入院対応できる連携病院の有無
在宅医療転職のステップと求人探し
STEP 1:転職の動機と目標を明確化
在宅医療への転職動機を明確にすることが、施設選びの基準になります。ワークライフバランス重視なのか、在宅緩和ケアへの専門化を目指すのか、地域医療への貢献なのかによって求める施設の特性が異なります。
STEP 2:医師専門転職エージェントへの登録
在宅医療・訪問診療の求人は一般に公開されていないものも多く、医師専門のエージェントを活用することが有効です。医師専門の転職サイト・エージェント比較 を参考に、複数のサービスを比較検討することをお勧めします。
STEP 3:施設見学と面接
施設見学では、実際の訪問同行を依頼することで職場環境を実感できます。医師の面接・見学対策と条件交渉のコツ も参考にしてください。
STEP 4:労働条件の確認と交渉
転職前に必ず確認すべき条件:
- 基本給・オンコール手当の内訳
- 休日・有給休暇取得状況
- 試用期間の有無と条件
- 医師賠償責任保険の加入有無
在宅医療転職のメリットとデメリット
メリット
ワークライフバランスの改善:残業が少なく、プライベートの時間を確保しやすい環境です。急性期病院と比べ、夜勤・当直が大幅に減る施設がほとんどです。

社会的使命感とやりがい:日本の在宅医療ニーズは年々拡大しており、「在宅で最期を迎えたい」という患者の希望を実現する役割を担えます。
患者との深い関わり:同じ患者を長期的に診ることで、患者・家族との信頼関係が築けます。病院勤務では得られない継続性のある医療を実践できます。
地域医療への貢献:地域の訪問看護・介護との連携を通じ、地域全体の医療・介護体制を支える重要な役割を果たせます。
デメリット・注意点
移動の負担:車での移動が中心で、1日に複数エリアを回るため体力的な負担があります。
設備の制限:病院のような高度医療機器が使えないため、対応できる医療行為に限界があります。
孤独な判断:患者宅での急変時には孤独な判断を迫られることがあり、十分な臨床経験が必要です。
精神的負担:看取りが多いため、精神的なサポート体制が整っているかを事前に確認することが重要です。
まとめ:在宅医療・訪問診療転職を成功させるために
在宅医療・訪問診療は、超高齢社会における医療ニーズの拡大を背景に、医師のキャリアとして今後さらに重要性を増す分野です。年収面でも1,000万円〜1,800万円以上の求人が多く、ワークライフバランスも改善しやすい職場環境が整っています。
転職を成功させるポイントは、自分のキャリア目標と生活スタイルに合った施設を選ぶこと、そして医師専門エージェントを活用して非公開求人にもアクセスすることです。
まずは医師の転職・キャリアチェンジ完全ガイドで転職全体の流れを把握し、自分に合ったキャリアパスを見つけていただければと思います。また、医師のアルバイト・スポット勤務の探し方と相場を活用して、転職前に訪問診療の非常勤として経験を積む方法もおすすめです。
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